Cjd 告知と自己決定

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Information about Cjd 告知と自己決定
Health & Medicine

Published on March 2, 2014

Author: shimohata

Source: slideshare.net

Description

クロイツフェルト・ヤコブ病における病名告知と治療に関する自己決定について,日本臨床倫理学会において報告しました.

クロイツフェルト・ヤコブ病における 病名告知・治療の検討 新潟大学脳研究所神経内科 ○下畑享良,柳村文寛 他田正義,野崎洋明,西澤正豊

背 景 • クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は,きわめて 短期間に高度の認知症を来す. • CJD症例に対する病名告知は殆ど行われて こなかった.

病名告知が行われなかった理由 ①診断の不確かさによる告知時期の逸失 ②医師が病状説明を繰り返す時間的余裕のなさ ③患者さんが病気を受容する時間的余裕のなさ ④患者さんに与える衝撃への家族の憂慮 ⑤進行性認知症に伴う意思決定能力の喪失

頭部 MRI 拡散強調画像(DWI)は早期診断を可能にする DWI Neurology 63; 443-449, 2004 認知機能が保たれた状態で CJDと診断される症例が存在する可能性

本研究の目的 診断時の 認知機能 病名告知 治療の 自己決定

対 象 • 2003年~2012年に,当科に入院した CJD症例を後方視的に検討した. • 診断はWHO診断基準に従った.

結 果

対象と発症年齢 18例 (男7:女11,66.3±14.3歳) 人 10 8 6 4 2 0 20- 30- 40- 50- 60- 70- 80-

病 型 M232A 2例 V180I 1例 168塩基対挿入 1例 MM 12例 MV 2例 (コドン129多型)

発症から DWI 異常検出まで 人 12 中央値:1.5ヵ月(0.3~48ヵ月) 10 8 6 4 2 0 0-1.9 2- 6- 12- 月

発症から診断確定まで 人 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 中央値:2ヵ月(0.3~48ヵ月) 0-1.9 2- 6- 12- 月

診断時の改訂長谷川式知能評価スケール 人 8 7 6 5 4 3 2 1 0 0-4 HDS-R≧21点 5- 10- 15- 20- 25- 点 4例 (22%; Sporadic 2例,Genetic 2例)

病名告知,治療における自己決定の有無 • CJDの病名告知に至った症例 → 2例 • 2例とも治療方針を自己決定した

症例提示

症例1(診断まで) • 68歳,男性(元公務員) • 主訴:物忘れ • 現病歴: X年7月下旬,眼のかすみ. 8月上旬,運動失調,認知機能障害. 9月上旬,当科入院. DWI:大脳皮質,尾状核,視床に高信号 発症後1.5か月で,possible CJDと診断.

症例1(告知と自己決定) • 家族に病状説明を行ったところ,本人への 病名告知を希望され,治療について本人の 意思を確認することを希望された. • HDS-R 15点であったが,Loの基準に照らし 合わせ,病名告知は可能と判断した. • 本人に病名を告知したところ,「68歳まで 生きたので,何もわからなくなってしまったら 無理に命を延ばすことはせず,自然に任せ たい」と意思表示された.

症例1(告知と自己決定) 自己決定5つの構成要素 (Bernard Lo) 1 選択する能力とそれを相手に伝える能力 2 医学情報を理解し,自分自身の問題として把握する能力 3 患者の意思決定の内容が本人の価値観や治療目標に一致 4 うつ,妄想,幻覚の影響なし 5 合理的な選択

症例1(その後の経過) • 経管栄養は行わず,維持輸液にて経過を 観察した. • 告知後3週間で意思疎通は困難となった. 告知後6週間で無動性無言となり,全経過 4か月で死亡した. • 本人の死後,家族は治療の方針について 本人の意向に沿うことができたので良かったと 述べていた.

症例2(診断まで) • 55歳,男性(自営業) • 主訴:左手の巧緻運動障害 • 現病歴: X年5月上旬,左手の巧緻運動障害. 5月下旬に入院(HDS-R 29点). DWIで,右頭頂葉皮質と右尾状核の高信号 WHO診断基準ではCJDに該当しないものの, その可能性が高いと判断し入院.

症例2(告知と自己決定) • 家族より,家業の引き継ぎや,残された時間 をどのように過ごしたいか本人に確認したい との希望があった. • 家族に本人の病前性格を確認後,本人に 病気についてどの程度知りたいかを尋ねた. 「家族のためにできることをやりたいので, 悪い病気であっても本当のことを知りたい」と いう希望が聞かれたため,本人に病名告知を 行った. • 治療に関して は「延命だけのための処置は 希望しない」との考えであった.

症例2(その後の経過) • 告知後の2週間を自宅で療養し,身辺整理等 行ったが,呼びかけに対する反応性も鈍くなり 再入院した. • 本人の意思を尊重し,経管栄養は行わず, 維持輸液にて経過観察を行った. • 発症後3か月で無動性無言となり,全経過 4か月で死亡した. • 本人の死後,家族は,「仕事の引き継ぎをし, 会うべき人にも会わせることができたので満足 している」と述べた.

考 察

考察1.DWIによってどれほど早く診断できるか? 人 12 10 中央値 2ヶ月 8 6 4 2 0 0-1.9 2- 6- 12- 月 病初期からの診断が可能 認知機能の保たれたCJD症例が増加する可能性

考察2.診断時の認知機能は保たれうるか? Genetic CJD:2/4名(50%)が HDS-R≧21 Sporadic CJD:2/14名(14%)が HDS-R≧21 ↓ いずれも告知や自己決定の可能性があり, 進行の遅い Genetic CJDではより可能性が 高い.

考察3.病名告知はどうあるべきか? 考慮したこと ① 最初に誰に告知をするか?(家族) ② 病前性格はどうか?(告知に耐えられる) ③ 本人が病名を知りたいか? どの程度,知りたいか? ④ 告知後のサポート,家族へのグリーフケア, 遺伝カウンセリングは可能か?

CJDにおける病名告知のメリット ① 患者さんの知る権利,知らないでいる権利の 尊重 ② 患者さんが残された人生をどのように生きるか という自己実現の達成 ③ 財産管理を含めた身辺整理 ④ 患者さん自身による終末期の治療法の選択

CJDにおける病名告知のデメリット ① 患者さんの受ける衝撃をサポート困難 (うつ,希死念慮) ② 家族の後悔 ③ 治療の自己決定が本当に可能か評価困難

考察4.治療の自己決定はどうあるべきか? CJDでも治療に対する自己決定ができる可能性があるものの 自己決定が本当に可能な認知機能か,いかに判断すべきか? 自己決定5つの構成要素 (Bernard Lo) 1 選択する能力とそれを相手に伝える能力 2 医学情報を理解し,自分自身の問題として把握する能力 3 患者の意思決定の内容が本人の価値観や治療目標に一致 4 うつ,妄想,幻想の影響なし 5 合理的な選択 日本人についても当てはめて良いか,検討が必要である

結語 • 診断時に認知機能が保たれているCJD症例が 存在する. • 本人や家族が希望する場合には,病名告知や 治療における自己決定を検討する必要がある.

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